【B104】見える査定エンジンを実装する
Astro + Reactで構築する透明なUIダッシュボード
前回の【B103】で、我らが第2段エンジン(GAS)は、国交省の実勢価格データからノイズを抜き、特定リスクを排除した「純度100%のサニタイズ・データ(JSON)」を精製することに成功した。

バックエンド側の準備は完全に整った。 いよいよ今回は、この「安全な燃料」を飲み込み、視覚的に表現するためのフロントエンド、つまり 「見える査定エンジン」のダッシュボード を構築していく。
1. 静と動の融合:Astroのアイランドアーキテクチャ
ダッシュボードの土台として選んだのは、軽量かつ爆速のフレームワーク Astro だ。
Astroは基本的にJavaScriptをブラウザに送らず、極限まで静的なHTMLとして画面を描画する。この「静的なガワ」の中に、動的なグラフを描画したい部分だけを React コンポーネントとして配置する。いわゆる「アイランド(島)アーキテクチャ」である。
今回は、ダッシュボードのヘッダーや、算出条件、ポテンシャルの概要カードといった基本レイアウトを Astro と Tailwind CSS で「深夜2時に映えるダークモード」として構築した。 そして、画面の中央に React + Chart.js で作られた「統計分布グラフの島」をドロップしたのだ。
2. 視覚化された「実在気体」:Chart.jsによる分布グラフ
ダッシュボードの本丸は、平米単価のばらつきを可視化した棒グラフ(Bar Chart)だ。
B103のGASエンジンで計算された「四分位範囲(IQR)」の判定結果(isOutlierフラグ)を使い、グラフの色を動的に塗り分けるロジックを組んだ。
// 🎨 isOutlier(外れ値フラグ)を見て、色を動的に変更するハック
const bgColors = sortedData.map(
(item) =>
item.isOutlier ? 'rgba(244, 63, 94, 0.8)' : 'rgba(20, 184, 166, 0.8)', // 外れ値は赤(Rose)、正常は青緑(Teal)
);
データを安い順(昇順)に並べ替えてプロットすると、中央の大部分はサイバーな青緑(Teal)で美しいS字カーブを描く。 そして、左端(安すぎる取引)と右端(高すぎる取引)の極端なデータには、はっきりと警告の赤色(Rose)が灯る。
平均値を無自覚に引っ張り、相場を歪める「ノイズ」の正体が、画面上に明確に炙り出された瞬間だ。
3. 全プロセスを公開する:アーキテクチャの可視化
ダッシュボードの右下には、B103で作成した「システム処理フロー」のアーキテクチャ図(MermaidをPNG化したもの)をマウントした。
ただ結果の数字をドーンと見せるだけの、既存のブラックボックスなAI査定サイトとは違う。 「どこからデータを拾い、どうサニタイズし、どのような数理ロジックで計算したのか」という全プロセスを、ユーザー(現時点では自分自身の区域だが)が100%検算・確認できるUIにしたかったのだ。
数字の根拠がすべて見えているからこそ、その評価額には圧倒的な「納得感」が宿る。
4. 次なる展望:第三者への安全な解放へ向けて
この「不動産固有ポテンシャル監視モニター」は、現在のところ私のローカル環境(Antigravity要塞)でのみ静かに稼働している。自分の城の現在地を知るための、言わば「自分専用の羅針盤」だ。
だが、このUIが組み上がった今、少し先の未来が見えてきた。
世の中には、不動産屋の営業トークや不透明な査定アルゴリズムに疑問を持ちながらも、自らコードを書いて検算する術を持たない人々がたくさんいる。 今回のB103で実装した「データの匿名化(サニタイズ)」の仕組みをさらに洗練させ、GASをAPIとして公開すれば、「将来、第三者が自分の生活の価値を、誰にもデータを奪われずに安全に検算できる仕組み」へと昇華できるかもしれない。
自分のために書き始めたコードが、いつか誰かのブラックボックスを壊すハンマーになる。 それもまた、シニアハッカーとしての密かな愉しみである。
(次回、最終回【B105】へ続く……?)
🎧 AIによる副音声解説(Audio Overview)
本プロジェクトの裏側や思想について、AIホスト2名が熱く語るポッドキャスト風解説です。記事と合わせてお楽しみください。
「見える査定エンジン」のフロントエンド

執筆協力:ChatGPT+Gemini+NotebookLM / 編集・監修:電脳古老)
📚 連載:不動産固有ポテンシャル
- 第1話:国交省データで導く「不動産固有ポテンシャル」──ブラックボックス査定を壊す、3つの罠と算出モデル
- 第2話:単純平均を信じるな──中央値と外れ値除外で、不動産データのノイズを抜く
- 第3話:見える査定エンジンを実装する──Astro + Reactで構築する透明なUIダッシュボード (今ここ)
- 第4話:生存戦略としてのデプロイ──「見える査定エンジン」をCloudflareのエッジへ放つ
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